図書館司書の資格を大人が取得するには?最短ルートや難易度をわかりやすく解説

学び

「本に囲まれて仕事をしたい」「定年後の新たな楽しみとして専門知識を身につけたい」。そんな大人たちの間で、図書館司書の資格が静かな人気を集めています。図書館司書は、単なる本の貸し借りだけでなく、情報の森から利用者に最適な一本を案内する「知のナビゲーター」です。

「今から大学に通うのは無理…」と諦めるのはまだ早いです。実は、社会人が働きながら取得できるルートが充実しており、最短半年から1年程度で資格を手にすることも夢ではありません。この記事では、大人になってから図書館司書を目指すための具体的な方法や、費用の目安、そして資格取得後のリアルな働き方まで、やさしく解説します。新しい趣味と学びの第一歩を、ここから踏み出してみましょう。

大人から図書館司書の資格を目指す基礎知識

まずは、図書館司書という資格の性質や、取得するための基本的なルールについて整理しましょう。国家資格と聞くと「難しい試験があるのでは?」と身構えてしまうかもしれませんが、司書の資格制度は少し特殊です。

そもそも図書館司書とはどんな仕事?

図書館司書は、都道府県や市町村の公立図書館、あるいは学校や大学の図書館などで働く専門職員です。その役割は、カウンターでの貸出・返却業務だけにとどまりません。新しい本の選定・発注(選書)、本を分類して検索しやすくする整理業務(目録作成)、そして利用者の「こんな本を探している」という質問に答えるレファレンスサービスなど、多岐にわたります。

近年では、子ども向けの「おはなし会」の企画や、ビジネス支援サービスの提供など、地域コミュニティの活性化を担う役割も期待されています。本と人をつなぐ架け橋となる、非常にやりがいのある仕事です。

資格取得に試験はない?必要な条件とルート

意外かもしれませんが、図書館司書の資格には「落とすための採用試験」のような国家試験は存在しません。法律で定められた科目の単位を大学などで修得し、卒業や修了をすることで資格が授与される仕組みです。

大人が資格を取得するための主なルートは以下の3つです。

【主な3つの取得ルート】

1. 通信制大学で必要な単位を修得する(社会人に一番人気)

2. 夏期などに開催される司書講習を集中的に受講する

3. 大学・短大に入学して通学する(時間的余裕がある場合)

すでに大学や短大を卒業している方であれば、必要な専門科目(約24単位〜)を追加で履修するだけで資格を取得できます。

「司書」と「司書補」の違いとは

図書館の資格には「司書」のほかに「司書補(ししょほ)」という資格があります。名前の通り、司書の業務を補佐する役割です。司書資格を得るには大学・短大卒業レベルの学歴が必要ですが、司書補は高卒資格があれば講習を受けることで取得可能です。

ただし、実際の求人現場では「司書資格」を条件とすることがほとんどです。また、司書補として3年以上の実務経験を積んでから講習を受ければ「司書」へステップアップできますが、求人の少なさを考えると、大人の学び直しとしては最初から「司書」を目指すのが一般的です。

社会人におすすめ!通信制大学で資格を取る

働きながら、あるいは家事や育児と両立しながら資格を取りたい大人にとって、最も現実的で人気なのが「通信制大学」を利用する方法です。場所や時間を選ばずに学べる仕組みが整っています。

通信制大学で学ぶメリット

通信制大学の最大のメリットは、通学の必要がほとんどない(または全くない)ことです。多くの大学がオンライン学習システムを導入しており、講義の視聴、レポートの提出、さらには科目終了試験まで、すべて自宅のパソコンで行えるコースが増えています。

また、自分のペースで学習計画を立てられるため、「平日の夜と土日に集中して勉強する」といったスタイルが可能です。急な仕事や体調不良で学習が遅れても、翌年に持ち越して履修できるなど、柔軟性が高いのも社会人には嬉しいポイントです。

取得にかかる期間と費用の目安

すでに大学や短大を卒業している方が、科目等履修生(必要な科目だけを取る学生)として入学する場合、最短で半年から1年で資格取得が可能です。高卒の方の場合は、大学卒業資格と同時に目指すことになるため、最短でも2年〜4年かかります。

費用については、大学により異なりますが、大卒資格を持っている方で約15万円〜20万円程度が相場です。これには入学金、授業料、テキスト代などが含まれます。通学制の大学に入り直すのに比べれば、圧倒的にリーズナブルに資格を手にすることができます。

実習は必要?カリキュラムの内容

教員免許や保育士資格と異なり、図書館司書の資格取得には「現場での実習(教育実習のようなもの)」が必須ではありません。これは社会人にとって非常に大きなメリットです。

その代わり、「図書館サービス演習」や「情報サービス演習」といった授業の中で、具体的な業務シミュレーションを行います。読み聞かせの実演や、データベースを使った検索練習などを通じて実践力を養います。一部の大学では希望者向けに現場実習を行っていますが、基本的には座学と演習のみで資格要件を満たすことができます。

単位修得の流れと学習スタイル

通信制大学での学習は、基本的に「テキスト学習」→「レポート提出」→「科目終了試験」のサイクルで進みます。

【学習の基本サイクル】

1. 配布されたテキストやオンライン動画で学ぶ。

2. 指定されたテーマでレポート(小論文)を書き、Webや郵送で提出する。

3. レポートが合格したら、試験を受ける(Web試験が多い)。

4. 試験に合格すると単位認定。

これを繰り返し、すべての必修科目の単位を取り終えれば修了です。最近ではスクーリング(面接授業)もZoomなどのオンライン会議システムで行われることが多く、一度もキャンパスへ行かずに資格証書が郵送されてくる大学も珍しくありません。

短期間で集中して学ぶ「司書講習」という選択肢

通信制大学以外で社会人が利用できるルートとして「司書講習」があります。これは文部科学省の委嘱を受けた大学が、夏期などに短期間で集中的に行う講座です。

司書講習の開催時期と場所

司書講習は、毎年7月から9月頃の夏休み期間を利用して行われるのが一般的です。全国各地の大学(毎年15校前後)が会場となります。期間は約2ヶ月間です。

この期間は、平日の朝から夕方までみっちりと講義が詰まっています。まさに「大人の夏期講習」といった雰囲気です。短期間で一気に単位を取り切るため、モチベーションを維持しやすいという利点があります。

受講資格と選考について

誰でも受講できるわけではなく、受講資格があります。基本的には「大学に2年以上在学し62単位以上を修得している人」や「大学・短大の卒業者」などが対象です。

また、定員が設けられているため、希望者が多い場合は書類選考などが行われることもあります。人気の会場は倍率が高くなることもあるので、事前の情報収集が欠かせません。募集要項は例年4月頃に発表されます。

働きながら通うのは現実的?

司書講習は平日フルタイムでの受講が前提となるため、一般的な会社員が働きながら通うのは非常にハードルが高いのが現実です。利用しているのは、求職中の方、学生、あるいは長期休暇が取りやすい学校関係の仕事に就いている方が中心です。

もし働きながらこのルートを選ぶなら、休職制度を利用するか、あるいは夜間コースを開講している数少ない大学を探す必要がありますが、選択肢はかなり限られます。

大人が資格取得に向けて利用できる制度と準備

大人が学び直しをする際には、費用や時間の管理が切実な問題となります。少しでも負担を減らし、効率よく学習を進めるための制度やコツを紹介します。

一般教育訓練給付制度の活用

雇用保険に加入している(または加入していた)期間などの条件を満たす場合、「教育訓練給付制度」を利用できる可能性があります。これは、厚生労働大臣が指定する講座を受講し修了した際に、支払った費用の20%(上限10万円)がハローワークから支給される制度です。

多くの通信制大学の司書コースがこの指定講座になっています。例えば学費が15万円の場合、修了後に約3万円が戻ってくる計算です。受講開始前にハローワークでの手続きが必要な場合もあるため、志望する大学が対象かどうか必ずチェックしましょう。

大学卒業資格がない場合のステップ

最終学歴が高卒や専門学校卒(※専門士の称号がない場合)の方など、大学・短大卒業資格がない場合は、まず「資格取得に必要な学歴要件」を満たすところからスタートします。

通信制大学の「正科生」として入学し、大学卒業を目指しながら司書課程の科目を履修するのが一番の近道です。この場合、卒業と同時に「学士(または短期大学士)」の学位と「図書館司書資格」の両方を得ることができます。時間はかかりますが、最終学歴もアップグレードできるため、キャリア全体のプラスになります。

学習を続けるためのスケジュール管理

通信制大学での学習で一番の敵は「孤独」と「先送り」です。強制力がないため、つい勉強を後回しにしてしまいがちです。

【挫折しないコツ】
・「1日30分だけ」とハードルを低く設定して毎日続ける。
・SNSなどで「司書資格勉強中」の仲間を見つけて励まし合う。
・レポートの締め切りを手帳に書き込み、逆算して着手する。

特にレポート作成は慣れるまで時間がかかります。最初は完璧を目指さず、まずは提出することを目標に進めるのが完走の秘訣です。

資格取得後のキャリアと図書館での働き方

晴れて資格を取得した後、どのような道が待っているのでしょうか。大人の転職事情や、実際の働き方について、正直な実情をお伝えします。

正規職員と会計年度任用職員の現状

図書館司書の求人で最も多いのが、「会計年度任用職員」と呼ばれる非正規雇用の形態です。これはかつての「臨時職員」や「嘱託職員」にあたるもので、1年ごとの契約更新となるのが一般的です。

一方、正社員(正規の公務員)としての採用は非常に狭き門です。公務員試験を受ける必要があり、年齢制限(多くは30歳前後まで)がある自治体も多いため、40代以降の社会人が正規職員として採用されるハードルは高いのが現実です。

図書館以外の就職先や活かせる場

「図書館」という箱にとらわれなければ、司書のスキルを活かせる場は意外と広がっています。

  • 学校図書館(学校司書): 小中学校で子供たちの読書活動を支えます。
  • 専門図書館: 企業や研究所の資料室で、専門資料の管理を行います。
  • 書店: 選書やポップ作成のスキルが活かせます。
  • 情報管理部門: 企業の総務やアーカイブ部門で書類管理を担います。

特に「情報を整理して、必要な人に届ける」というスキルは、デジタル化が進む現代のどの企業でも通用する汎用性の高い能力です。

年齢はハンデになる?採用の実情

正直なところ、未経験からの中途採用では年齢が見られることもあります。しかし、図書館の現場では、接客経験や社会人としてのマナー、そして何より「本への深い造詣」や「知的好奇心」が重視されます。

子育て経験が児童サービスの強みになったり、前職のビジネス知識がレファレンスで役立ったりと、大人の人生経験そのものが武器になることも多々あります。ボランティアから始めて人脈を作るなど、柔軟なアプローチで道を開いている方もたくさんいます。

まとめ:図書館司書の資格は大人の新たな学びの扉

図書館司書の資格は、大人になってからでも十分に取得可能な資格です。特に通信制大学を活用すれば、今の生活リズムを崩さずに、比較的安価に学ぶことができます。試験がないとはいえ、レポート作成や単位修得には地道な努力が必要ですが、その過程で得られる「情報を扱うスキル」や「体系的な知識」は、一生ものの財産になります。

就職に関しては、正規職員への道は厳しい側面もありますが、会計年度任用職員や学校司書、あるいは今の仕事へのスキル応用など、活かし方は人それぞれです。何より、好きな「本」について深く学び、その知識で誰かの役に立てるという喜びは、他の何にも代えがたいものです。

「いつか」ではなく「今」、その一歩を踏み出してみませんか? 知的で豊かな新しい世界が、あなたを待っています。

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