日本史の学び直しを大人になってから!挫折しない学習法と楽しむコツ

学び

「学生時代、年号や人名の暗記ばかりで日本史が苦手だった…」
「大河ドラマや歴史小説をきっかけに、もう一度日本史を学び直したくなった」

このように感じている大人の方は、決して少なくありません。実は、社会人になってからさまざまな経験を積んだ今だからこそ、日本史は学生時代とは全く違う面白さで私たちを魅了してくれます。点と点だった知識が線でつながり、歴史上の人物たちの決断や苦悩に深く共感できるのは、大人ならではの特権と言えるでしょう。

この記事では、大人が日本史を学び直すための具体的な方法を、目的別にやさしく解説します。本や漫画はもちろん、YouTubeやアプリといった現代的なツールもご紹介。さらに、忙しい毎日の中でも学習を楽しみながら続けるコツや、どの時代から始めればよいかといった疑問にもお答えします。この記事を読めば、あなたにぴったりの学び方が見つかり、日本史がきっと一生モノの教養になるはずです。さあ、一緒に知的好奇心を満たす学び直しの第一歩を踏み出しましょう。

大人が日本史を学び直す魅力と始める前の準備

大人になってから再び日本史のページを開くと、そこには学生時代には見えなかった奥深い世界が広がっています。単なる暗記科目ではない、現代につながる壮大な物語としての魅力を再発見できるはずです。ここでは、なぜ今多くの大人が日本史に惹かれるのか、そして学び始める前にしておきたい準備について解説します。

なぜ今、大人が日本史に惹かれるのか?

学生時代は受験のために、ひたすら年号や出来事を暗記する作業にうんざりした方も多いかもしれません。しかし、社会人となった今、日本史を学び直すことには新たな魅力があります。

大人になってからの学び直しは、知識や経験が豊富なため、歴史上の出来事の背景や人物の心情を深く理解できるのが大きな理由です。 例えば、ニュースで報じられる国際情勢の背景には、過去の歴史的な出来事が複雑に絡み合っていることが少なくありません。 歴史を知ることで、現代社会で起きていることの本質が見えやすくなるのです。

また、大河ドラマや映画、歴史小説などで描かれる人物像に惹かれ、「この人物は実際にはどんな人だったのだろう?」と興味を持つことも、学び直しのきっかけになります。 学生時代は遠い存在だった歴史上の偉人たちも、社会経験を積んだ今なら、彼らの決断や苦悩に共感できる部分が多く見つかるでしょう。 このように、日本史の学び直しは、単なる知識の習得にとどまらず、現代社会への理解を深め、人生を豊かにする知的な趣味となり得るのです。

学び直しで得られる意外なメリット

日本史の学び直しは、知的好奇心を満たすだけでなく、実生活やビジネスシーンで役立つ多くのメリットをもたらしてくれます。学生時代には気づかなかった、大人ならではの恩恵にはどのようなものがあるのでしょうか。

まず、教養が深まることで、会話の幅が広がります。 例えば、旅行先で訪れた史跡の背景を知っていれば、旅は一層味わい深いものになります。 ビジネスシーンでも、出身地の歴史や武将の話が、取引先との雑談のきっかけとなり、円滑なコミュニケーションにつながることもあるでしょう。

次に、物事を多角的に見る力が養われます。 歴史上の出来事は、ひとつの視点だけでは語れません。 さまざまな立場や思惑が複雑に絡み合って歴史は動いてきました。なぜその出来事が起こったのか、背景を探ることで、物事の本質を捉え、表面的な情報に惑わされない思考力が鍛えられます。これは、複雑な課題解決が求められる現代のビジネスパーソンにとって、非常に重要なスキルと言えるでしょう。

さらに、過去の事例から未来を予測するヒントを得られることもあります。 歴史は繰り返すと言われるように、過去の成功例や失敗例は、現代の私たちが進むべき道を照らすことがあります。 偉人たちの決断や組織の盛衰を学ぶことで、自身のキャリアや人生における意思決定の際の判断材料が増えるのです。

まずは目標設定!何を知りたいか明確にしよう

いざ日本史を学び直そうと思っても、その膨大な情報量を前に「どこから手をつければいいのか…」と途方に暮れてしまうかもしれません。そこで重要になるのが、具体的な目標を設定することです。やみくもに始めるのではなく、自分が「何を知りたいのか」「なぜ学びたいのか」を明確にすることで、学習のモチベーションを維持しやすくなり、挫折を防ぐことができます。

例えば、以下のように目標を立ててみてはいかがでしょうか。

  • 特定の人物について知る:「大河ドラマの主人公、渋沢栄一が何をした人か詳しく知りたい」
  • 好きな時代を深掘りする:「ゲームや漫画で好きな戦国時代の武将たちの関係性を理解したい」
  • 全体の流れを掴む:「まずは古代から現代までの大きな流れをざっくりと把握したい」
  • 特定のテーマを追う:「仏教が日本でどのように広まっていったのか、その歴史を知りたい」

このように、興味のある人物や時代、テーマに絞ることで、学習の入り口がぐっと見つけやすくなります。 壮大な日本史のすべてを一度に理解しようとする必要はありません。まずは自分の知的好奇心が向かう先を定め、そこから少しずつ知識の範囲を広げていくことが、楽しく学び続けるための第一歩です。

【目的別】あなたに合った日本史の学び直し方法

日本史を学び直すといっても、その方法は一つではありません。自分のライフスタイルや学習の目的に合わせて、最適なツールを選ぶことが大切です。ここでは、5つの代表的な学習方法を、それぞれのメリット・デメリットと合わせてご紹介します。あなたにぴったりの方法を見つけて、今日から学び直しをスタートさせましょう。

じっくり知識を深めたいなら「本・書籍」

体系的で信頼性の高い知識をじっくりと得たいなら、やはり本や書籍が最適です。 一口に本と言っても、学びたいレベルや目的に応じて様々な選択肢があります。

初心者や全体の流れを掴みたい方には、物語のように通史(日本の歴史全体)を解説してくれる入門書がおすすめです。YouTubeで「神授業」と話題の現役高校教師が執筆した『一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』は、出来事の因果関係をストーリー仕立てで解説しているため、記憶に残りやすいと評判です。

より正確で網羅的な知識を求める方には、高校の教科書を一般向けに再編集した『新もういちど読む山川日本史』が定番です。 最新の歴史研究の成果も反映されており、信頼性が非常に高い一冊です。 また、写真や図版が豊富な資料集『山川 詳説日本史図録』を併用すると、文字だけではイメージしにくい文化財や当時の人々の暮らしを視覚的に理解でき、学習効果がさらに高まります。

本の種類 おすすめな人 代表的な書籍例
ストーリー重視の入門書 ・日本史に苦手意識がある
・まず全体の流れを楽しく掴みたい
『一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』
教科書ベースの通史 ・正確な知識を体系的に学びたい
・本格的に学び直しをしたい
『新もういちど読む山川日本史』
図録・資料集 ・活字だけではイメージが湧きにくい
・視覚的に理解を深めたい
『山川 詳説日本史図録』

書籍での学習は、自分のペースで深く掘り下げられるのが最大のメリットですが、一方で、読み進めるのに時間と集中力が必要になるという側面もあります。まずは興味のある時代の本から一冊手に取ってみるのが良いでしょう。

楽しみながら全体像を掴むなら「漫画・学習まんが」

「活字ばかりだと、どうしても眠くなってしまう…」「まずは気軽に歴史の世界に触れたい」という方には、漫画が最適な学習ツールです。 視覚情報が豊富でストーリー性も高いため、人物像や出来事の流れが直感的に頭に入ってきやすく、楽しみながら学習を進められるのが最大の魅力です。

学習まんがは、歴史の専門家が監修しているものが多く、史実に基づいた正確な知識を学ぶことができます。小学生向けと侮ってはいけません。大人になってから読むと、複雑な人間関係や時代の背景が驚くほどすっきりと理解できます。 定番の『小学館版学習まんが 少年少女日本の歴史』や、より新しい視点を取り入れた『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』など、複数の出版社からシリーズが刊行されており、絵の好みや構成で選ぶことができます。

また、特定の時代や人物に焦点を当てた歴史漫画もおすすめです。 例えば、平安時代の都で起こる怪事件を、若き日の菅原道真と在原業平が解決していく『応天の門』や、アイヌ文化と明治時代末期の北海道が舞台の『ゴールデンカムイ』など、エンターテイメント性の高い作品に没頭することで、その時代の文化や空気感を肌で感じることができます。

漫画はあくまで物語として脚色が加えられている場合もあるため、本格的に学ぶには書籍との併用が望ましいですが、日本史への興味の入り口としては、これ以上ないほど優れた教材と言えるでしょう。

スキマ時間を活用するなら「YouTube・動画コンテンツ」

通勤中や家事の合間など、スキマ時間を有効活用して学びたい方には、YouTubeなどの動画コンテンツが強力な味方になります。 スマートフォンさえあれば、いつでもどこでも専門家の分かりやすい解説に触れることができます。

教育系YouTuberのチャンネルでは、学校の授業のように体系的に学べる動画が数多く公開されています。例えば、「Try IT」では、プロの講師が教科書の内容を基礎から丁寧に解説しており、復習や先取り学習に最適です。 また、「Historia Mundi」のムンディ先生のように、参考書も執筆している講師による網羅的な解説動画は、独学で日本史を学ぶ人にとって心強い存在となるでしょう。

一方で、よりエンターテイメント性の高いチャンネルも人気です。「中田敦彦のYouTube大学」では、歴史上の出来事が巧みな話術で面白く解説されており、歴史に興味を持つきっかけになります。 「ぴよぴーよ速報」のように、難しいテーマをあえて簡単な言葉でざっくりと解説するスタイルは、歴史の全体像を手早く掴むのに役立ちます。

YouTubeチャンネルのタイプ 特徴 おすすめチャンネル例
授業・解説系 基礎から体系的に学べる。信頼性が高い。 Try IT、Historia Mundi
エンタメ・教養系 面白く、興味を持つきっかけになる。 中田敦彦のYouTube大学、ぴよぴーよ速報
ビジュアル重視系 高品質な映像で視覚的に理解できる。 エピックヒストリー

動画コンテンツは、視覚と聴覚の両方から情報が入ってくるため理解しやすく、続けやすいのがメリットです。ただし、情報の正確性については、信頼できる配信者かどうかを見極めることも大切です。

ゲーム感覚で知識を定着させるなら「アプリ・サイト」

スマートフォンアプリやWebサイトは、クイズ形式や一問一答形式でゲームのように楽しく知識を確認・定着させるのに非常に便利です。 特に、単語や年号といった基本的な知識を繰り返し学習するのに向いています。

多くの日本史学習アプリは、時代別やテーマ別に問題が整理されており、自分の苦手な分野を集中的に学習することができます。 例えば、「日本史の王様」は、旧石器時代から昭和まで1200問以上を収録し、一問一答だけでなく年号クイズや正誤問題など、多彩な出題形式で飽きさせない工夫がされています。

また、間違えた問題だけを繰り返し出題してくれる機能や、学習の進捗をグラフで可視化してくれる機能など、モチベーションを維持しやすい仕組みが備わっているアプリも多いです。

アプリ学習のメリット

  • 移動中や待ち時間などの短い時間でも手軽に学習できる
  • ゲーム感覚で楽しく反復練習ができる
  • 苦手分野を効率的に克服できる

アプリだけで日本史の全体像を深く理解するのは難しいかもしれませんが、書籍や動画で学んだ知識のアウトプットや記憶の定着を目的として活用することで、学習効率を飛躍的に高めることができるでしょう。 多くのアプリは無料で始められるので、いくつか試してみて自分に合ったものを見つけるのがおすすめです。

体系的に学びたいなら「通信講座・社会人向け講座」

「独学だと、どうしてもモチベーションが続かない」「専門家から直接、体系的に教わりたい」という方には、通信講座や大学などが開講している社会人向け講座の受講がおすすめです。

ユーキャンの「大人の学び直し日本史講座」のような通信講座は、専門家が監修したテキストや映像教材がセットになっており、学習の順序やペースが明確に示されているため、迷うことなく学習を進めることができます。 添削課題や質問サービスといったサポート体制が整っているのも、独学にはない大きなメリットです。

また、國學院大學の「オープンカレッジ」や早稲田大学の「エクステンションセンター」など、多くの大学では社会人向けの公開講座が開かれています。 これらの講座では、大学教授から直接、最新の研究成果に基づいた質の高い講義を受けることができます。 同じ興味を持つ仲間と出会える可能性もあり、学習意欲をさらに高めてくれるでしょう。

学習形態 メリット デメリット
通信講座 ・カリキュラムが決まっていて学びやすい
・サポート体制が充実している
・受講料がかかる
社会人向け講座 ・専門家から直接学べる
・同じ興味を持つ仲間と出会える
・受講料がかかる
・開講場所や時間が限られる

費用はかかりますが、その分、質の高い学びと学習を継続するための環境が手に入ります。本気で日本史を究めたい、あるいは独学に限界を感じている方は、こうしたサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

挫折しない!日本史の学び直しを続けるコツ

学び直しを始めたものの、仕事の忙しさなどを理由に三日坊主になってしまうのは避けたいものです。ここでは、楽しみながら学習を長く続けるための、ちょっとしたコツを4つご紹介します。自分に合った方法を取り入れて、無理なく続けていきましょう。

最初から完璧を目指さない

学び直しで最も大切なのは、「完璧を目指さない」ことです。学生時代の試験勉強とは違い、すべての年号や人名を暗記する必要はありません。 最初から分厚い通史の本を読破しようとしたり、細かい知識まで覚えようとしたりすると、その情報量の多さに圧倒され、挫折の原因になってしまいます。

まずは、「だいたいこんな流れだったのか」と全体像を俯瞰で捉えることを目標にしましょう。 細かい部分は気にせず、物語を読むような感覚で楽しむことが大切です。一度で全てを理解しようとせず、何度も繰り返し触れるうちに、知識は自然と定着していきます。

挫折しないための心構え

  • 100%の理解を目指さず、80%でよしとする
  • 細かい年号や人名は、気になったらその都度調べる程度でOK
  • まずは1つの時代や人物に絞って、そこから広げていく

大切なのは、日本史を「勉強」と捉えすぎず、「知的好奇心を満たす趣味」として楽しむ姿勢です。肩の力を抜いて、気楽な気持ちで始めてみましょう。

自分の好きな時代や人物から始める

日本史という広大な海を前に、どこから航海を始めればよいか迷ってしまうのは当然です。そんな時は、自分が最も心惹かれる時代や人物から始めてみるのが一番の近道です。 大河ドラマや映画で見た華やかな戦国時代、幕末の志士たちの熱いドラマ、あるいは古代の神秘的な雰囲気など、あなたの「好き」という気持ちが、学習を続ける何よりの原動力になります。

例えば、「戦国武将が好き」という方なら、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人に絞って関連書籍を読んでみるのはどうでしょう。 彼らの人間関係や戦略を追っていくうちに、自然と安土桃山時代の全体像が見えてきます。

「どの時代もピンとこない」という方は、現代から過去へ遡って学ぶという方法もおすすめです。 「なぜ今の日本はこうなっているのか?」という疑問を起点に、その原因を一つひとつ過去に探っていくやり方は、まるで推理小説を読むように歴史の因果関係を解き明かすことができ、非常にエキサイティングです。 自分の興味を羅針盤にして、自由な順番で歴史の世界を探検してみましょう。

学んだことをアウトプットする

インプットした知識を記憶に定着させるためには、アウトプット(出力)することが非常に効果的です。 ただ本を読んだり動画を見たりするだけでなく、学んだことを何らかの形で外に出す習慣をつけましょう。

アウトプットの方法は、決して難しいものである必要はありません。

手軽にできるアウトプットの例

  • 話す:学んで面白かったことを、家族や友人に話してみる。「昨日、聖徳太子の肖像画の秘密を知ったんだけど…」といった簡単な内容で構いません。
  • 書く:読んだ本の感想や、学んだ内容の要約をノートやSNSに書き出してみる。自分の言葉でまとめることで、理解が格段に深まります。
  • 教える:もし自分より日本史に詳しくない人がいれば、その人に教えてみるのも良い方法です。人に説明するためには、自分が正しく理解している必要があります。

アウトプットを前提にインプットを行うと、「後で誰かに話そう」という意識が働くため、情報の吸収率も自然と高まります。最初は少し恥ずかしいかもしれませんが、ぜひ積極的に試してみてください。学んだ知識が「自分のもの」になっていく感覚を実感できるはずです。

歴史の舞台を実際に訪れてみる

書籍や映像で学んだ知識を、より鮮やかで立体的なものに変えてくれるのが、史跡や博物館を訪れることです。実際にその場所に立つことで、歴史上の出来事が単なる文字情報ではなく、リアルな物語として心に響くようになります。

例えば、鎌倉を訪れて鶴岡八幡宮や大仏を見れば、源頼朝が築いた武士の都の息吹を感じられるかもしれません。京都のお寺を巡れば、貴族たちが育んだ華やかな文化を肌で感じることができるでしょう。

博物館や資料館では、当時の人々が実際に使っていた道具や、武将が身につけていた甲冑、美しい美術品などを間近に見ることができます。教科書の写真で見ていたものが目の前にある感動は、何物にも代えがたい体験です。

学びと旅行を結びつけることで、日本史は一層楽しいものになります。 次の休日は、少し足を延ばして、あなたの好きな歴史の舞台を訪れてみてはいかがでしょうか。そこで得られる感動や発見は、さらなる学びへの意欲をかき立ててくれるに違いありません。

学び直しにおすすめ!時代別・テーマ別の学習ポイント

日本史は非常に長く、時代ごとに特色があります。どの時代から手をつければ良いか迷う方のために、ここでは代表的な4つの時代区分とその魅力を簡単にご紹介します。自分の興味に近い時代から始めて、少しずつ他の時代へと知識をつなげていきましょう。

物語の始まり「古代(飛鳥〜平安時代)」

古代は、日本の国家としての形が作られ始めた、まさに「物語の始まり」とも言える時代です。 弥生時代の小さなクニから、やがてヤマト政権という大きな政治連合が誕生し、古墳が盛んに作られました。

飛鳥時代には、聖徳太子が登場し、冠位十二階や十七条憲法を定めて中央集権的な国家の礎を築きます。 中国(隋)との国交も再開され、仏教文化が花開きました。 法隆寺などの荘厳な建築物は、この時代の息吹を今に伝えています。

奈良時代になると、都は平城京に移され、律令国家(法律に基づいた国家)の仕組みが整います。この頃に編纂された『古事記』や『日本書紀』は、日本の神話や初期の歴史を知る上で欠かせない書物です。東大寺の大仏が造立されたのもこの時代で、仏教の力が国家の安寧のために重要視されていたことがわかります。

そして平安時代、都は平安京(現在の京都)へ。藤原氏が摂政・関白として政治の実権を握る摂関政治が展開され、きらびやかな貴族文化が栄えました。『源氏物語』や『枕草子』といった、現代にも読み継がれる文学作品が生まれたのもこの頃です。この雅な時代の裏側で、地方では武士が力をつけ始めていたことも、次の時代への伏線として重要なポイントです。

武士の世の到来「中世(鎌倉〜安土桃山時代)」

貴族の時代が終わりを告げ、武士が政治の中心となったのが中世です。源平の争乱を制した源頼朝が鎌倉に幕府を開き、ここから約700年にわたる武家政権が始まります。

鎌倉時代は、質実剛健な武家文化が特徴です。「御恩と奉公」という主従関係で結ばれた武士たちの社会は、それまでの貴族社会とは大きく異なります。しかし、二度にわたる元寇(モンゴル帝国の襲来)は、幕府の財政を揺るがし、武士たちの不満を高める結果となり、鎌倉幕府は滅亡へと向かいます。

続く室町時代は、足利尊氏が京都に幕府を開きますが、その支配は不安定でした。特に後半は、応仁の乱をきっかけに全国各地で戦乱が繰り広げられる戦国時代へと突入します。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった英雄たちが天下統一を目指して鎬を削るこの時代は、ドラマチックな展開が多く、日本史の中でも特に人気の高い時代です。

安土桃山時代は、信長と秀吉が権力を握った短い期間を指します。南蛮文化(ヨーロッパの文化)がもたらされ、茶の湯などの豪華絢爛な文化が栄えた一方で、秀吉による朝鮮出兵など、国外との緊張も高まった時代でした。この激動の時代を経て、日本は再び統一され、江戸時代へと続いていきます。

泰平の世と文化の爛熟「近世(江戸時代)」

戦乱の世が終わり、徳川家康が開いた江戸幕府のもとで、約260年もの平和な時代が続いたのが近世(江戸時代)です。

幕府は、武家諸法度などの厳しい法律で大名を統制し、参勤交代によってその力を削ぐことで、長期にわたる安定した支配体制を築きました。また、「鎖国」と呼ばれる対外政策をとり、海外との交流を厳しく制限したことも、国内の平和を維持する一因となりました。

この長い平和の中で、町人文化が大きく花開きます。歌舞伎や浮世絵、俳諧(松尾芭蕉など)といった、庶民が主役の活気ある文化が次々と生まれました。経済も発展し、大坂(現在の大阪)は「天下の台所」と呼ばれるほどの商業都市として栄えます。

しかし、泰平の世も終盤になると、幕府の財政難や度重なる飢饉により、社会の仕組みに綻びが見え始めます。そして、ペリー率いる黒船の来航が、日本の長い眠りを覚ますことになります。国内は開国か攘夷(外国を打ち払うこと)かで大きく揺れ、江戸幕府は終焉を迎え、日本は新たな時代、近代へと歩みを進めることになるのです。

激動の時代と現代へのつながり「近現代(明治〜現代)」

ペリー来航以降の近現代は、日本の社会が最も劇的に変化した時代であり、現代の私たちに直接つながる重要な時代です。

明治時代、江戸幕府が倒れ、明治新政府が樹立されると(明治維新)、日本は欧米列強に追いつくため、「富国強兵」「殖産興業」をスローガンに急速な近代化を進めます。身分制度が廃止され、議会が開設され、大日本帝国憲法が発布されるなど、政治・社会の仕組みが根底から変わりました。日清戦争・日露戦争という大きな戦争を経て、日本は国際社会での地位を高めていきます。

大正時代は、第一次世界大戦の好景気などを背景に、民主主義的な風潮(大正デモクラシー)や自由な文化が花開いた、比較的短いながらも個性的な時代でした。

しかし、昭和時代に入ると、世界恐慌をきっかけに軍部が台頭し、日本は満州事変から日中戦争、そして太平洋戦争へと突き進んでいきます。敗戦後、日本はアメリカの占領下で民主化改革が行われ、日本国憲法が施行されました。その後、高度経済成長を経て、日本は奇跡的な復興を遂げ、世界有数の経済大国へと発展しました。

平成から現代にかけては、バブル経済の崩壊やグローバル化の進展、そして数々の自然災害など、新たな課題に直面しています。私たちが今生きているこの時代も、未来から見れば歴史の一部です。近現代史を学ぶことは、現代社会が抱える問題のルーツを知り、未来を考える上で不可欠な視点を与えてくれます。

まとめ:日本史の学び直しで、日常に新たな彩りを

今回は、大人が日本史を学び直すための様々な方法や、挫折せずに楽しむためのコツについて解説しました。

  • 大人の学び直しは、学生時代とは違う深い理解と共感が得られる
  • 本、漫画、YouTube、アプリなど、自分に合った学習方法を選ぶことが大切
  • 完璧を目指さず、好きな時代や人物から始めるのが継続のコツ
  • 学んだことをアウトプットしたり、史跡を訪れたりすることで、学びはさらに楽しくなる

学生時代は単なる暗記科目だった日本史も、大人になった今、改めて向き合うことで、現代社会を読み解くヒントや、人生を豊かにする教養、そして純粋な知的好奇心を満たす最高の趣味となり得ます。 まずは興味のある分野から、気軽に一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。きっと、あなたの日常に新たな彩りを与えてくれるはずです。

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